食に関わる資格の中でもトップクラスに位置する「栄養士」ですが、
栄養士の中には別途離乳食に関する資格を取得する人も居ます。
栄養士に別途離乳食の資格は必要なのか、
栄養士が離乳食の資格を取得するメリットは何なのかについて詳しく見ていきましょう。
栄養士と離乳食の資格では栄養士が格上
栄養士はれっきとした国家資格ですが、
離乳食の資格は民間の企業や団体が認定する民間資格です。
簡単に取得できない民間資格もあるものの、
単純に比較すると民間資格よりも国家資格の方が格上です。
民間資格の種類によっては就活でプラスになることもあればならないこともあります。
国家資格は余程畑違いの業種を選ばない限り程度の違いはあっても
取得していること自体がプラスになります。
ちなみに「栄養士は国家資格ではない」とよく勘違いされるのですが、
その原因は栄養士になるための国家試験が無いからです。
栄養士の上位資格である管理栄養士になるためには
管理栄養士国家試験を受験して合格しなければいけません。
しかし栄養士国家試験というものは無く、
厚労省指定の栄養士養成課程を修了すれば栄養士資格が取得できます。
また資格を交付するのが管理栄養士は厚生労働大臣なのに対して栄養士は
各都道府県知事であることも国家資格ではないと勘違いされる原因です。
国家試験が無くて交付するのが都道府県知事であっても栄養士は栄養士法という
法律によって定められたれっきとした国家資格なのです。
栄養士になるには
栄養士になるためには、先にも書いたように厚労省が指定する2年以上の
栄養士養成課程を修了しなければいけません。
栄養士養成課程修了後に国家試験を受ける必要は無く、
養成課程を修了すれば栄養士資格取得となります。
厚労省指定の栄養士養成過程があるのは2022年11月現在
・四年制大学25校
・短期大学92校
・専門学校31校
となっています。
栄養学だけでなく公衆衛生学や解剖生理学、調理学なども学ぶ必要があり、
栄養指導や調理などの実習、解剖実験といった授業もあるのです。
栄養士養成課程を修了すること自体が簡単ではありませんから、
いくら国家試験が無いと言っても栄養士資格は簡単には取得できません。
参考:https://www.eiyo.or.jp/about/howto01.html
管理栄養士になるには栄養資格が必要
栄養士の上位資格に管理栄養士がありますが、
管理栄養士になるには栄養士資格が必要です。
栄養士養成課程の就学期間と栄養士としての実務経験期間が合計5年以上で
管理栄養士国家試験の受験資格が得られます。
例えば短大(2年間)で栄養士養成課程を修了したとすると、資格取得後に
栄養士として3年以上実務経験を積まないと管理栄養士の試験が受けられないのです。
ちなみに四年制大学で管理栄養士養成課程を修了した場合は、
修了時に栄養士資格と管理栄養士国家試験の受験資格が与えられます。
離乳食の資格を取得するには
離乳食の資格を取得するには、それぞれの資格を認定している企業・団体が
行っている試験に合格することが必要です。
中には試験のみで取得できる資格もありますが、
離乳食の資格のほとんどは講座と受験がセットになっています。
資格を認定している企業・団体が開催している講座を一定期間受講した上で
試験を受けて合格すれば資格取得となるわけです。
試験と言ってもそれほど難しくは無く、
テキストを見ながら受験できるケースも多いので比較的簡単に取得できます。
栄養士が別途離乳食の資格を取る必要はある?
栄養士養成課程では離乳食についても学びますし、栄養士資格を持っている時点で
離乳食についてはある程度の知識とスキルが身に付いています。
必要な知識とスキルが身に付いている以上、
栄養士が別途離乳食の資格を取る必要が絶対にあるとは言いにくいです。
ただ栄養士が身に付けているのは乳児期から高齢期までの人生における食に関する
知識やスキルであり、離乳食のエキスパートではありません。
離乳食の資格を取得すると離乳食に特化した知識やスキルが身に付きます。
保育所など乳幼児の食事や栄養を管理する仕事をする場合には、
栄養士資格とは別に離乳食の資格を取得しておくとプラスになる可能性が高いです。
実際に保育所などに務める栄養士の中には、保護者からの離乳食に関する相談や
質問に答えられなかったので離乳食の資格を取得したという人も少なくありません。
栄養士におすすめの離乳食の資格
栄養士が離乳食の資格を取得するなら「離乳食アドバイザー」がおすすめです。
離乳食アドバイザーは母子栄養協会認定の民間資格で、
1日5時間もしくは2日間で合計5時間受講して試験に合格すれば取得できます。
講座内容は座学と調理実習で、試験は筆記試験だけでなく調理課題の提出も必須です。
他の離乳食の資格講座では、座学と筆記試験のみで調理は課題提出も添削も試験も
無いというケースが多くなっています。
離乳食アドバイザーなら離乳食についての必要な知識だけでなく、実際に離乳食を
作るのに必要なスキルも身に付けられるので特におすすめというわけです。
まとめ
栄養士資格を持っているなら無理に離乳食の資格を取得する必要はありません。
ただ離乳食の資格は保育所など乳幼児の食事や栄養を管理する仕事では
プラスになることもあるので取っておいて損は無いです。